藤沢市議会

令和5年9月定例会 一般質問【健やかな家庭づくりについて】

流産・死産等を経験した母親や家族のケアについて

皆様もよくご存じだと思いますが、平均初婚年齢が年々上がっています。この要因といたしましては、女性の社会進出によって男女の格差がなくなったこと、将来への経済的な不安、子育ての資金不足などが挙げられます。その影響により、高齢出産が増えており、2000年には高齢出産の割合が全体の約12%でしたが、2020年には約29%と非常に高くなっています。高齢出産は出産適齢期と言われる20代と比べると流産や先天性疾患等様々な面でリスクが高まります。

現在、妊娠された方の15%が流産となり、50人に1人が死産となり、500人に1人が新生児死となるという統計が出ています。2022年に藤沢市で生まれた子どもたちは3058人でした。この数字から計算すると、540人が流産、61人が死産、6人が新生児死となり、藤沢市で年間600人以上もの女性やその方のご家族がつらい経験をされています。

西川せいじ

まず、最初に流産・死産・新生児死の把握方法と藤沢市の件数を教えていただけますでしょうか。

齋藤健康医療部長

西川議員の一般質問にお答えいたします。流産については、国において、人工妊娠中絶として、総数しか公表しておらず、市町村別の統計がないため、把握ができない状況となっておりますが、死産や生後28日未満の新生児死亡の件数につきましては、県の衛生統計により把握しております。直近である令和2年の統計によりますと、死産については72件、新生児死亡は1件となっております。

流産の統計を取るのは非常に難しそうですが、藤沢では年間73件もの方が死産・新生児死を経験されていらっしゃるのですね。

西川せいじ

現在、流産・死産等を経験した方からの保健所へのご相談はございますか?

齋藤健康医療部長

 相談実績につきましては、主にご本人からではなく、 パートナーやご家族からの相談が、年間で数件ございます。本市においては、ご本人やご家族の想いを大切にした対応を行い、助産師による自宅への訪問ケアなど、利用可能なサービスに関する情報提供を行っております。

600人以上の方々が流産・死産等を経験している中で数件のご相談というのは非常に少ないのではないかと思います。

西川せいじ

相談しにくい方もいらっしゃると思いますが、流産・死産等を経験した方への相談などのケアについて、必要な情報の周知はどうされておりますでしょうか。

齋藤健康医療部長

流産・死産等を経験した方へ、適切な情報を適切なタイミングで提供していくことについては、個々のタイミングの見極めが非常に難しいことから、自助グループからの意見を踏まえ、能動的な形ではなく、受動的な形で情報を受け取ってもらえるように、今年度からホームページを積極的に活用し、相談機関のご案内や同じ経験をされた方との交流の場について情報提供を行っております。

今年度から専用のページを作っていただき、積極的に運用しているとのことで、非常に嬉しく感じております。 流産や死産後に心理的負担を抱えている方に対して、子どもが出生したことを前提とした母子保健サービスの連絡が届き、当事者に更に強い精神的負荷がかかった事例があると聞いています。

西川せいじ

死産を経験した女性等に対する心理社会的支援が適切に行われるように、令和2年11月20日付で「厚生労働省 子ども家庭局 母子保健課長および厚生労働省 統計管理官通知」において、「保健統計主管課に対し、母子保健担当課の求めに応じた死産届に関する必要な情報共有を依頼している」とありますが、本市の状況はいかがでしょうか?

齋藤健康医療部長

本市では、妊産婦の体調確認が必要な場合、電話や訪問等を行っておりますが、事前の情報把握が十分でなく、流産・死産後の方に対し、連絡をすることで、精神的負担がかかったと、ご指摘をいただくこともございます。これまで、個人情報の取り扱いについては、課題となっておりましたが、改めて関係課で調整し、検討してまいります。

前向きなご回答ありがとうございます。

先進事例として、豊橋市においては、保健所に届け出があった死産の情報は、保健所保健統計主管課と母子保健担当課が把握する運用を取っています。母子保健担当課として、健診や保育に関する情報など今後の乳幼児に関する案内の送付を差し止める必要があるためです。

また、死産の情報を管理することで、次の妊娠の際など、本人の申告を待たずに保健師が必要な配慮を行うことが可能となりますので、死産届の有効活用の方法としてご検討よろしくお願いします。

令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業での流産や死産等を経験した女性に対する心理社会的支援に関する調査研究の事業報告書の中で様々なアンケートがとられております。わたくしも含めて男性の方々は流産や死産がどのような心の状態を招いてしまうのかが想像しにくいかもしれませんのでご紹介いたします。

このデータは流産もしくは死産がわかった直後の辛さに関するものです。流産や死産を経験した女性の悲嘆は深く、実に 93.0%が「辛かった」と回答しています。

その後、時間の経過につれて辛さを感じる割合は緩やかに減少していきますが、“流産もしくは死産から6か月経ったころ”で51.2%、“流産もしくは死産から1年経って以降〜現在”で32.2%です。3分の1の方が今もなお、辛さを感じており、長期に亘ることがわかります。

特に死産の経験者は、辛さを感じる割合がより高く、“死産から1年経って以降〜現在”でも7割の方がつらさを感じており、時間はより長期に亘っております。

さらに、最も辛かった時期には67.8%が日常生活に支障をきたしていたというデータも出ています。

そして、最も辛かった時期における精神的な問題の程度を、K6尺度という心理的ストレスによる 精神的な問題の程度を表す指標を用いて測ったところ、65.0%がうつ・不安障害が疑われるというレベルで、53.6%の方々が重度のうつ・不安障害が疑われるというレベルの精神状態に陥っていることがわかります。

このような心の状態の時に誰にも話していない方が30.3%いらっしゃるのですが、その理由を尋ねたところ、“相談しても変化が期待できないと思った”、“流産や死産について、人に話すことに抵抗があった”といった心理的な問題に加え、“身近に相談する先がなかった”、“誰に相談できるのかわからなかった”といった相談先へのアクセスの問題があげられております。

“特に相談する必要を感じなかった”は15.3%のみであり、それ以外の84.7%の人たちは、相談したい気持ちはあったものの、なんらかの障壁によって相談できなかったと考えられます。やはり、重度のうつレベルの深い悲しみの最中ですので、なかなか相談がポジティブな結果につながると考えることができなかった可能性もありますし、自発的に相談できるところを探すという行動に出られなかった可能性もあるかと思います。

相談ニーズとして流産や死産によって感じた辛さについて、誰かにもっと話を聞いて欲しかった・相談したかったと思う事がらを尋ねたところ、特にないという方が16.2%だったので、それ以外の83.8%が何らかの事がらについて「もっと話を聞いて欲しかった・相談したかった」というニーズを抱えていました。

現状、行政の相談窓口(地域の専門の相談窓口や保健センターの保健師等)に相談をしたことがあるのはわずか 5.2%でしたが、「行政の専門の相談窓口や保健センターの保健師等、流産や死産についての知識を持った専門職や流産・死産の経験者等が相談にのってくれる場」があったら、相談してみたかったかを尋ねたところ、相談してみたいニーズを持つ人は 35.0%にのぼっております。

これらの調査結果から、相談したかった・話をきいてほしかったというニーズがある中、ニーズをかなえてくれる場所や窓口がどこにあるかわからない方が多く、そして辛さを感じているタイミングでは重度のうつレベルの心の状態のため、能動的に情報をとりにいけるほどの心の状態ではないということが推察できます。今後、自治体側から能動的な情報発信をすることにより、相談窓口や自助グループ等の存在を周知していく必要性があると感じます。

西川せいじ

流産・死産を経験した女性へ能動的な情報提供に活用する、パンフレットやチラシなどはありますでしょうか。また、パンフレットなどの様々な手法を活用して、関係各所との連携した周知が必要と思いますが市の意見をおしえてください。

齋藤健康医療部長

現在、ホームページを中心に周知を行っており、今時点ではパンフレット等については作成しておりません。今後につきましては、グリーフケアを行っている自助の会のご意見をいただきながら、医療機関等と連携し、紙媒体等も含めた効果的な周知方法も検討してまいります。

横須賀市では死産届を受理する窓口や火葬場、豊橋市では産科及び市民病院のような周産期医療機関との連携を実施しておりますので、ご参考にしていただき、よりきめ細やかなサービス構築をしていっていただければ嬉しいです。

流産・死産等で赤ちゃんを亡くしたご家族への心のケアや啓発の活動はピンク&ブルーリボンを国際シンボルマークとしており、ピンク&ブルーリボン運動と言われています。イギリスなど欧米を中心に20年以上も前に始まった活動で、期間中は街のランドマークがピンクとブルーにライトアップされ、各国でキャンドルを灯すイベントが開催されています。

日本では2018年に当事者団体Baby Loss Family Support Angieが中心となり徐々にピンク&ブルーリボン運動の啓発が広がってきています。

国際的な啓発週間として、毎年10月9日から15日を「ベイビーロス アウェアネス ウィーク~ 亡くなった赤ちゃんとご家族に想いを寄せる1週間」と定めていまして、目的としては流産・死産・新生児死等で赤ちゃんを亡くしたご家族への心のケアや支援の必要性について意識を高め、お空の赤ちゃんへ共に想いを寄せます。このことで希望を失いかけているご家族の孤立を防ぎ、「ひとりじゃないよ」と生きる力を支えることです。そして、短い時間でも家族に幸せをくれた赤ちゃんの命を讃える大切な機会です。

西川せいじ

最終日の10月15日の17時から藤沢で初めて、キャンドルナイトのイベント Wave of light湘南2023 を白旗神社で開催いたします。藤沢市のWeb等でこのイベントについて多くの人にアナウンスしていただくことは可能でしょうか。

齋藤健康医療部長

ご紹介いただいたイベントについては、本市も後援しており、チラシやホームページ等による周知を予定しております。

様々な媒体を通じて、藤沢市だけでなく、いろんな地域からキャンドルイベントに集まってもらえるようになれば嬉しいです。

赤ちゃんを亡くしたご家族だけでなく、周りの方や、お産に携わる医療関係者も心を痛めていると聞きます。こういったイベントを通じて流産・死産・新生児死等の赤ちゃんの死について広く知っていただき、亡くなった赤ちゃんのことを話すことをためらわない社会になるよう、今後、藤沢市としても、積極的に関わってほしいと思います。

藤沢市議会議員:西川せいじ

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