藤沢市議会

令和5年6月議会一般質問【誰ひとり取り残さない地域共生社会について】

ケアラー全般について

「ヤングケアラー」という言葉は2021年流行語大賞にノミネートされ、徐々に世の中に浸透していきました。藤沢では2016年にヤングケアラーに関する全国初の都市部での実態調査を教員の方々に実施しております。

ヤングケアラーに非常に力を入れている埼玉県では令和2年3月にケアラー支援条例、さいたま市では令和4年7月にケアラー支援条例が施行されております。

そして、条例が制定されてからわずか2か月後にはさいたま市では小中高の生徒への実態調査が実施され、ヤングケアラーに対しての支援員派遣事業が開始しております。やはりこのスピーディーな対応は県でも市でも条例が制定されていることが大きいと思っております。藤沢市は子育て世代の流入により、高齢化率は全国と比較してもそこまで高くないですが、10年後、20年後を見据えたときには高齢化の波は押し寄せてきますし、

知的障がい・精神障がいがある方の人口も年々増加しております。ヤングケアラーももちろん重要ですが、全世代の様々なパターンのケアラーを支援することが非常に重要です。

西川せいじ

先の藤沢市を見据えて、スピーディーな対応を実施していくためにもケアラー支援条例が必要であると考えていますが藤沢市で独自の条例を制定するということはお考えでしょうか?

佐藤福祉部長

本市におけるケアラー支援に関する条例制定の考え方でございますが、全世代のケアラーに対する支援につきましては、それぞれの状況や背景に寄り添い、すべてのケアラーがその人らしい生活や、働き方ができるよう支援していくことが、大変重要であると捉えております。

これまでの本市におけるケアラーに対する支援につきましては、支援に向けた推進体制や関係機関の役割の明確化などに関する認識を庁内で共有し、包括的な相談支援体制の整備に努めてきたことや様々な周知・啓発を行ってまいりました。このことから、現時点におきましては、条例制定の必要性は低いものと考えておりますが、今後、先進市の取り組み状況や国、県の動向を注視してまいります。

西川せいじ

ありがとうございます。それでは個々の対応策についてご質問させていただきます。

2021年5月、厚生労働省と文部科学省の合同プロジェクトチームがヤングケアラー支援についての報告書を提出しました。この中で具体策として打ち出された点について、藤沢市ではどのように取り組むかを教えていただきたいと思います。

まずは、ヤングケアラーに対する相談窓口として「SNSなどを活用した相談体制の整備」についてです。現在、神奈川県が運用しているかながわヤングケアラー等相談LINEを活用しております。藤沢市専用で設置することは考えておりますでしょうか?

佐藤福祉部長

LINEアプリ等SNSを活用した相談ができるサービスにつきましては、自ら声をあげにくい子どもたちにとりましては、有効な手段の一つであると捉えております。

本市におきましては、神奈川県で実施する「かながわヤングケアラー等相談LINE」を活用し、気軽に相談できる体制を整えており、藤沢市在住の方から相談があり、ご本人が希望する場合には、本市の相談部門につながる仕組みが既に構築されております。このことから市独自のシステムを導入する予定はございませんが、本市LINEメニューから容易にアクセスできるようにする仕組みなど、相談しやすい環境整備と支援の充実に努めてまいります。

西川せいじ

ありがとうございます。

わたくしも一般質問で取り上げようと思ったときには、神奈川県の窓口があれば、問題ないのかなと思っておりましたが、最近ヤングケラーに関する現場の意見を聞くことができましたので共有しておきます。

元藤沢市内中学校校長で民生委員として小中学校の福祉懇談会に参加している現場の方からのご意見です。「神奈川県のLINEもよいし、大切だけれど、藤沢市にもあれば、子どもにとっても大人にとってもハードルは低くなるだろうと思います。実際にその家に関わるのは、国や県よりも、結局、身近に近づける誰かだと思うので、県から情報ももらいながら、藤沢は藤沢でSNSの窓口が作れれば、一番良いと思います。」とのことでした。やはり神奈川県での運営と藤沢市の運営では、わずかかもしれないですが、心的ハードルに違いがあるようです。少しでも心的ハードルを下げるためにも、藤沢市の身近な方が運営していると伝わるLINE等の相談窓口の環境整備をしていただけると子供たちのためになるかとは思います。

西川せいじ

続きまして、厚生労働省と文部科学省の合同プロジェクトチームがヤングケアラー支援についての報告書の中に「幼いきょうだいのケアを担う子どもがいる家庭への家事支援サービスを検討する」とあります。第3者が家庭に入っていって、実際の子どもたちの負担の軽減をすることをしていかないと根本的な解決にはならないと考えています。県内でも相模原や平塚などが取り組んでいると聞きますが、藤沢でも取り組むべきではないでしょうか?市の見解をお聞きしたいです。

佐藤福祉部長

ヤングケアラーをはじめとするケアラーに対する支援につきましては、一つの部門が相談から支援まで全てを担うのではなく、ケアラーが置かれる現状などを、様々な部門がその関わりの中から把握し、ケアを必要とする人だけでなく、ケアを担う家族の状況にも目を向け、連携・協働していくことが重要であります。

そのため、現在も、教育部門、子どもへの支援に関する部門、福祉に関係する部門が連携し、必要なサービスにつなぎ、複合的な支援を行っております。

ケアを担う子どもがいるご家庭への家事支援サービスにつきましては、子どもへの支援に関する部門において取り組んでおり、教育や福祉などに関する部門において養育上の課題があるご家庭を把握した場合に、必要に応じて家事支援サービスにつなげることで、子どもたちの負担の軽減に努めているところでございます。

西川せいじ

ありがとうございます。

家事支援サービス等様々なサービスを複合的に活用していくとのこと、ご教示いただきましてありがとうございます。市のヤングケアラー関連のHP内に家事支援以外のサポートもあるかと思いますので、提供できるサービス内容を記載いただけますと、市内の皆様もサポート体制が整っているなと安心する部分もあるかなと思います。 現在、ヤングケアラーかどうかの見極め方として、学校の先生や民生委員の方々が、宿題をやれてない、学校を遅刻・早退・欠席をしがち、洋服がいつも同じ等の様子を見て、ヤングケアラーではないかという情報のキャッチの仕方をしていると伺っています。この変化に気づくということも大切だと思っていますが、外から見ておかしいなと思う状態は、既に苦しい環境に陥って、苦しんでいる状態です。可能であれば苦しむ前に、情報をキャッチできるとよりよい支援ができるのではないかと感じています。また、先日竹村議員がお話をされたヤングケアラーに関してのセミナーの中で、「ケアも勉強もがんばっている子どもたちもいて、変化が出にくく、情報が入手しにくい」との話がありました。このような子どもたちの情報をキャッチするには、アウトリーチ型の情報の取り方でないと情報が得られないと思います。令和4年2月の予算等特別委員会で「学校生活アンケートの自由記述欄に記載例として、習い事、家でのこと、家族のことなどを示して、子どもたちが抱える表面化しにくい困り事について把握できるようにしています。」という答弁がありましたが、自由記述欄のみではなかなか記載しない子どもたちもいるのではないかなと思いました。そこで、今回、教育指導課から学校生活アンケートを入手いたしました。それがこちらです。

西川せいじ

見ていただいたらわかる通り、いじめに関するアンケートがメインなのですが、周りの人からされたことで、嫌な気持ちになったことがありますかといういじめられている立場への質問から始まり、嫌なきもちになることをしたことがありますか・嫌なことをさている人を見たり聞いたりしたことがありますかという、いじめた側・第三者と様々な立場への結構突っ込んだ内容が盛り込まれておりました。

西川せいじ

この学校生活アンケートに、「家族の中にあなたがお世話をしている人はいますか。または家族が担うべき家事や仕事を日常的にしていることがあれば、選んでください。家事・介護・きょうだいのお世話・その他・特になし」とお世話や家事等を1日何時間していますか選んでください。1時間以内・2~3時間・4時間以上」このような答えやすい質問を盛り込めば、ヤングケアラーの子どもたちの情報を能動的に得ることができます。

西川せいじ

その後に、2問目に4時間以上と回答した子どもたちから、先生もしくはスクールソーシャルワーカーがヒアリングをし、ご支援が必要かどうかを聞くことが大切です。それはお世話をすることに尊厳を持っている子どもたちもいるからです。その時支援が必要だと思わなくても、支援してもらえる環境があることが子どもたちに周知できますし、今後苦しいなと思った時にすぐに頼れることができる状況が作れていくと思います。

しかし、現在学校はビルド&ビルドでかなりパンパンだという話も教育指導課から聞いております。学校生活アンケートは年に3回実施しておりまして、2回は先ほどの教育指導課のアンケート、1回は学校独自のアンケートだそうです。教育指導課のアンケートはA4裏表1枚にきっちり収まっており、この1枚という部分も子どもたちの負担を抑えるために重要ということもお話を聞いて理解しました。アンケートに盛り込む内容もヤングケアラー関連を盛り込むなら、虐待やその他いろいろなことを盛り込みたい気持ちもあるとのことです。

西川せいじ

ここで一つご提案をさせていただきたいことがあります。今3回中の2回は同じアンケートをされているとのことですが、これにヤングケアラー関連を追加したバージョンと虐待等を追加したもう一つのバージョンにマイナーチェンジをし、年に1回はヒアリングできる環境を作れたらよいかと思っております。ぜひ前向きにご検討ください。これは要望ですのでご答弁は結構です。

続きまして、いま「ヤングケアラー」についてはようやく社会的な認知も徐々に広がってきました。しかし、介護やケアは18歳を過ぎれば終わるわけではありません。令和5年2月の予算等特別委員会で「まずは私たちの職場、皆さんの職場にも若者ケアラーがいて、仕事との両立に悩んでいるかもしれない、そういったことを皆で共有することが大切であると考えております。」と答弁いただいております。若者ケアラーの実態調査は各企業単位で独自に実施していただかなければ、実態の把握が非常に難しいという現状です。まず、藤沢市役所が背中を見せるという意味でも市役所内の若者ケアラーの実態調査をいたしませんか?仕事とケアを両立している職員に対するみなさんの対応の仕方も変えていける、より働きやすい藤沢市役所になると思います。そして、社会人ケアラーの調査をしたという全国初の事例になり、様々な法人様・自治体様に啓発をするということにもなると思います。いかがでしょうか?

中山総務部長

仕事に就きながら家族の介護等を担う若者ケアラーにつきましては、身近にいる職場の管理職員や同僚が、本人の仕事ぶりや生活態度などの変化に気づき、適切な声掛けや配慮を行うことが大切であり、職場の理解を進めていくことは必要であると認識しております。

 本市では、家族の介護などに悩む職員がいた場合、本人が一人で抱え込むことがないよう、職員課が窓口となり、必要に応じて所属する職場とも連携しながら各ケースの相談に対応しております。同時に、仕事と介護の両立を目的に一定期間の休暇が認められる介護休暇や家族看護休暇などの活用を促しております。

 このような相談対応や諸休暇制度の周知は全世代の職員に向けて行っており、現時点で若い世代を対象とした実態調査の予定はございませんが、今後も、困っている職員が声を上げられる、そして困りごとの解決に向け相談ができる、良好な職場環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

ありがとうございます。

市役所は様々な支援サービスが非常に身近な場所だとは思います。しかし、それでも、性格的に声を上げることが難しい方々もいるかもしれないということは頭の片隅に置いていただけますと幸いです。次の質問に参りたいと思います。

藤沢市議会議員:西川せいじ

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